Little Life Labメンバーにインタビューをしていく「LLL member interview」。
2人目は、1期生の仁木朋美さん。ラボでは「ともーみ」の愛称で親しまれています。

IT企業に勤めながら、自身のSNSを駆使してエシカルファッションについて発信しています。
鎌田も「良い意味で公私混同」と驚いた、身近なひとに「エシカル」を広めるともーみなりの方法や情報発信に込める想いを聞きました。



鎌田:今日はよろしくお願いします。最初に自己紹介として、ともーみのお仕事や活動内容について教えてもらえますか?

仁木:サブスクリプションシステムを広めていくことを目指して、定期通販のシステムを販売するITの会社で週5で働いています。わたしの所属部署はCS(カスタマーサクセス)で、お客さんのサポートやお客様満足度を上げることが仕事の根幹にあります。

エシカルファッションなどは仕事には直接関係がないので、個人の活動として、YouTube( THE STORY. )を3週間から1か月に一本のペースであげています。最近はInstagramとLLLがメインになっていたりもしますが……。


鎌田:フルタイム働きながらですもんね。すごいことです。Youtubeを始めたのはいつ頃でしたっけ?

仁木:大学3年生の3月ごろにYouTubeやInstagramTwitterブログを一気に始めました。ちょうど今3年目です。ありちゃんと出会ったのもその頃で、めぐるファッションラボ(鎌田とINHEELSが共同主催するエシカル・サステナブルファッションの研究会)に参加したのがきっかけでしたよね。

鎌田:ともーみとは出会って色々と話してきたもんね。もう3年前と思うと早いですね〜。めぐるファッションラボはどうやって見つけて、なんで参加しようと思ったんですか?

仁木:ありちゃんのSNSを見て、ですね。大学でYouTubeを作って単位を取れる授業があって、YouTubeで発信する前に何かちゃんと学べるとことろはないかなと思っていた時にちょうど2期の募集をしていました。でも、見つけた時にはもう締め切りになってしまっていて、ゆかさん(めぐるファッションラボ共同主催の元INHEELS代表)に必死に連絡して(笑)そうしたら滑り込みで入れてもらえました。


鎌田:すぐに埋まっちゃったもんね。YouTubeで大学の単位が取れるというのは?

仁木:学部自体に卒論やそれに似たような必修科目はなかったんですが、研究のような形で「卒業演習」という授業がありました。せっかくだしやりたいなと思って、今興味があることといえばファストファッションとエシカルファッションについてだ、って。うちの学部にはファッションを研究してる人はいなかったので、仲の良かった先生に相談しに行ったら「面倒見なくていいならいいよ」って言われて。


鎌田:先生いいね(笑)その時からエシカルファッションとファストファッションについてYouTubeで発信したいです、という感じで相談したんですか?

仁木:その時は「発信」ということまで決まっていなくて、テーマとしてはこの辺をやりたいなぁと思っていました。どんな方法で進めるのか聞かれた時に、論文だとすでにこのテーマに興味がある人が読むものになってしまうから、多くの人の目に触れる方法を考えた時にYouTubeやSNSを使っていこうかなぁと思いました。身近な人やまだ興味を持っていない人に伝えたいと思っていたので

鎌田:うんうん。そもそもエシカルファッションに興味を持ったきっかけは?

仁木:きっかけは、GUで働いていたことです。大学2年生の夏過ぎからアルバイトを始めてちょうど一年くらい経った時、タンスにいらない服しかないことに気づいたんです。それまで服をめっちゃ買うという経験がなくて、だから「こんなに服いる?」という感覚がありました


鎌田:店員として店頭に並んでいる商品を着るために、本来自分が買ってたペースよりも早く服を買うようになったということですか?

仁木:うん、そうですね。で、どうしようかなって。服捨てるという習慣も、それこそ今までなかったから。服の手放し方もあまり分からない。手放さないで置いておくけど、めっちゃ増えていく(笑)ちょっとこれはおかしいな? どうしようかな? という時に、ちょうどありちゃんのTwitterで「エシカルファッション」という言葉を見て、なんとなく印象に残りました。
そのタイミングで友達から「Made In Bangladesh」の動画を紹介されて、初めて「ラナ・プラザ」のことを知りました。ラナ・プラザのビルで洋服を作っていたファッションブランドのデザイナーさんが現地に行くという英語の動画で、全部についていけるわけじゃなかったけど、「うわぁ、やばいな」と。そのファッションを売っているし、買う人たちも幸せにはなっているけれど、それを知らずに過ごしていることが怖い。自分自身が悪いことをしてるわけじゃないけど、裏側にそういう側面があることを知らないままお買い物してることが怖いなと思って。これは広めなきゃいけないかも! と。

鎌田:知らないままよりも、知った上で選べるほうがいいんじゃないかと。

仁木:そうですね。そこで「エシカルファッション」という言葉と紐づいて、「あっ言ってたのはそういうことかもしれない!」みたいな感じです。

鎌田:実感と繋がったんですね。YouTubeやブログを始めて3年ほど経って、その間にイベントに登壇したり、書籍『大量廃棄社会』の中でインタビューを受けたりと色々な発信をしてきたと思うんですが、実際に発信をしてみてどうでしたか?

仁木さんがYoutuberとしてインタビューを受けた『大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実』(光文社新書)



仁木:反応としては、こんなにニッチな分野なのにYouTubeのチャンネル登録者数も240人と徐々に増えてきているのかなぁと(9月10日現在)。会社でもこの一年くらいで理解度が変わってきたような気がします。

鎌田:会社の人たちが?

仁木:例えば、毎日飲むサプリメントや化粧品で個包装になっているものがありますよね。個包装だから同僚と「使いやすいよね」と話をしていると、「でも、ゴミ出るよね」という会話が生まれる。他には、マイボトルを持ってきた同期の子が「今日持ってきたんだ!」と報告をしてくれたりとか

鎌田:それってすごいことだよね。会社と自分の趣味や興味、生活を分けるのではなく、社内で伝えて、かつ興味を持ってもらうなんて。どんな風に伝えてるんですか?

仁木:そんなに意図的なことはしていないです。でも「エシカル」って言葉をめっちゃライトに使うようにはしています。例えば、新卒の子が定期通販で使う段ボールの代わりにコンテナボックスのような使いまわせる箱があるという記事をシェアしてくれたら、「え、それめっちゃエシカルだね!」「でも厳密には違うけど」みたいに言ったりとか。

鎌田:まずは言葉を知ってもらう。

仁木:そういうニュアンスなんだな、っていう。エコっぽいみたいなところから入るのが伝わりやすい。マイボトルの写真をお昼休みに撮ってると、「すごい女子だね」と言われるけど、「マイボトルウィークをやっているんで」と話して、みんなのマイボトルも「ちょっと撮っていいですか?」と聞いていく(笑)


鎌田:マイボトルウィーク(仁木が企画したマイボトルを一週間持ち歩く取り組み)はどういうきっかけでやろうと思ったんですか?

仁木:去年自分で「一週間ひとりでやってみよう」とやってみたことがあったんですが、Instagramが水筒だらけの写真になるのも何だかなぁとマイボトルは持参するけどSNSにはあげなかったんです。でもそうすると、「ペットボトルでもいいか」とサボっちゃうことがありました。もう一回やってみようと思った時にLLLのみんなならやってくれそうだと思って呼びかけてみたら、意外とみんな参加してくれて……!

鎌田:本当にいい企画だもんね。

仁木:自分が思ったよりも反響があって、みんながリアクションしてくれました。だから、じゃあ来月もやっちゃおうかな? って。そういうところはLLLに救われますね。

鎌田:わたしもLLLに投げるとそれぞれリアクションくれるから日々、新しい発見をもらっています。みんなの投稿がそれぞれおもしろいもんね。

ともーみのこの”身近なひとに広める技”いいですよね。エシカルという言葉をライトに使うことの他にも何かあったりしますか?


仁木:そうですね、ゴミは話題にしやすいですよ。ゴミは目の前の相手も自分も見えてるものだから、「これはこんなに包装いらないよね」と分かる。


鎌田:それはゴミが多い時に「こんなにゴミいらないよなぁ」ということ?

仁木:そんな感じです。「めっちゃゴミ出るじゃん~~」って。

鎌田:基本的にライト(笑)

仁木:(笑)タピオカの蓋もカップの大きさに沿って切り取られているから、残った端の部分はゴミになる。「あれ集めたら何個(蓋が)できるんだろうね?」と素朴な疑問を投げます。他にもお茶葉を勧めてみたりもします。そしたらマイボトルを持ってこざるを得ないですから。

あとは、竹のストローを使っていると話しかけられて、なんで竹がいいのかを「(竹の)成長速度が速いからだよ」という話ができたりします。

鎌田:身近な人が使っているって本当に大事ですよね。ニュースやSNS上だけで使っている人を見かけても、なかなか自分もやってみようとはならないかもしれないけれど、自分の身近なひとが二人くらい使っていると「あ、もうそれは普通なんだ」みたいになりますよね。

鎌田:以前、本業の会社のシステムもフェアトレードの仕組みと相性がいいんじゃないか、みたいなことも話してくれていましたよね。その理由を教えてもらえますか?

仁木:サブスクリプション型は食品など消耗品と元々相性が良いんです。People Treeのチョコレートで例えるなら、一か月ごとに3種類くらい届けるコースを作る。そうするとコースの申込人数などからPeople Tree側は大まかな(売上)予測を立てることができます。今だと生産者さん側に先に50%お支払いしてから、生産後に残りの50%をお支払いする形かもしれないけれど、その先行投資部分をもう少し増やすことができたりと、生産者さん側にしてあげられることもたくさんあると思っています。ある程度の生産量が見えることでセールの量が減れば、PeopleTree自体の利益も出る。そんな風に健全な形でビジネスできるんではないのかなと考えています。

鎌田:お客さんとしてもあのチョコが定期で届いたらとっても嬉しいです。フェアトレードのコーヒーなどもまだまだ買える場所が少ないから、定期宅配はすごく相性いいですね。

仁木:そうなんです。本当はモールみたいなものがあれば一番いいかなとは思うんですが……。

鎌田:モールとは?

仁木:エシカルの食品が入っている楽天のようなモール。シサム工房のコーヒーとPeople Treeのチョコが毎月一個ずつ届くような、勝手にセレクトした商品が定期的に届く仕組みがあれば、People Tree以外の食品も知ることができる。自分としては一番使ってみたいなって思っています。

鎌田:おぉ、なんだか夢が広がりますね!
これまでエシカルやフェアトレードを自分なりに勉強してきて、「ともーみにとってエシカルって何ですか?」と聞かれたら何と答えますか?

仁木:生産者さんが見えること。例えば、認証を取っていなかったとしても、ストーリーを伝える売り方をしてる人たちははエシカルだなぁと思う。でも、最近はエシカルから始まって興味が広がってしまっているので、エシカルじゃない言葉ってないのかなって思うくらいです。

鎌田:では、エシカルという言葉は置いておいて、ともーみが今関心を寄せていることは何ですか?

仁木:ちゃんとWin-Winであること。すべてはそこから始まっていて、わたしは服を買って幸せな気持ちになるけれど、作っているひとたちはそうじゃない。売れているのにどういうことなんだろう? というWin-Winじゃないビジネスへの違和感があります。だから環境問題や移民問題も、どうするのがベストなのかなと考えているのが好きなのかもしれません。

鎌田:洋服以外にも普段の生活の中で選ぶものが変わったりしましたか?

仁木:本当に長く使える商品かどうかは結構気にして選んでいます。そして化粧品など消耗品以外でお買い物する機会が減りましたね。最近買ったものは、歯ブラシやワタルさんのお店(LLL1期生の宮本航さん。アニマルフリーのアパレルブランド『doves』やヴィーガンセレクトショップ『LOVST-TOKYO』で代表を務めるなどしている)で買ったパリのブランドのヴィーガンレザーのサンダルです。振り返った時に買ってよかったなぁと思うのがエシカルで、フェアなものであることが多いです。

鎌田:これまで、めぐる旅(鎌田が株式会社HISと共同で主催するスタディーツアー)のインドやタイのツアーにも参加してくれて、色んなことを見てきたと思いますが、実際に生産地を尋ねて見てイメージや見方が変わったきたことはありますか?

仁木:インドでの衝撃として、今も思い出すのは女性が働けることの大切さ。女性に職があることによって、家庭内の地位がこんなに変わるんだなぁと驚きました。そうしてプライドを持てるということは、あの場所に見にいったからこそ知ることができた。


鎌田:そうですよね。ものをただ作っているわけじゃなくて、人の人生とこんなにダイレクトにつながっているんだと思うとびっくりします


仁木:その国でのその文化での個人の生活がある。だから「フェアトレード」や「生産者さん」という言葉でまとめちゃうと、なかなかその人たちのリアルな生活が全然見えてこないですよね


鎌田:本当に人間と人間の関わりだから一括りではいかないですよね。
そこに向き合いながら、「お互いが納得いくように関わっていこうよ」という姿勢を持ち続けてるフェアトレードの会社やエシカルファッションのブランドの人たちが好きだなぁとわたしは思います。

仁木:そうですね。だからわたしはそういう人たちの存在を広めるという方法で応援したいなぁと思っています。チョコでも洋服でも色々な商品があるなかで、いいなと思えることを「こういう選択肢があるんだよ」と広めることが、私にとって楽しくできることだと思います。

鎌田:そこに繋がると思いますが、今後の目標や野心などはありますか?

仁木:私の会社ではwishを掲げています。去年からどうしようかと悩んでいたんですが、最終的にたどり着いたのは「エシカルファッションとフェアトレードの言葉をなくすくらい広める」こと。どうなったら正解なのかを考えることも含めてすごく大変だけど、追い求めていきたい。それを目指すために身近な人やエシカル、フェアトレードを知らない人に広めていきます。



仁木朋美(にきともみ)

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Photo Daiki Endo

Text sakiobama