恵比寿にある「Cosme Kitchen Adaptation」は、「おいしく食べて、心も体も美しくなる」Clean Eating(クリーンイーティング)をコンセプトにしたカフェレストランです。そのディレクションを担当し、メニュー開発や外部とのコラボレーション企画まで手がけているのが谷口かおりさん。
後編では、かおりさん流の「安心・安全な食の取り入れ方」について教えていただいたことをご紹介します。


■健康のために、便利なものは取り入れていい

鎌田:先ほど(詳細は前編へ)の食事スタイルの話ともつながりますが、自分の行為に対して能動的になる、というのはとても大切で、同時になかなか難しいことでもある、ということですよね。かおりさんは「食品添加物」にまず着目されたとのことですが、そもそも「食品添加物」とはどんなものと考えればいいのでしょう?

谷口:簡単に言えば、食品に添加されているものですよね。理解しやすい考え方として、私はよく「天然」か「化学」か、で考えます。人間の身体は「天然」です。そこに「化学」的なものが加わっていくと、「天然」の要素が崩れて、たとえばもともと備わっている「自然治癒力」が弱まっていく、などの弊害が起こります。ちょっと極端すぎるかもしれませんが、食の観点から見た場合「天然」なものには「天然」なものしかプラスに働かないと考えて良いと思います。



鎌田:「天然」と「化学」という分け方で考える、とインプットしておくと、考えるときの助けになってくれそうですね。ただ、その言葉だけでは、日々の生活のなかでどうやって判断していけばいいの?と難しい場面があるなぁとも実感していて。服の素材にも「天然」と「化学」とがあって、例えば「竹の繊維」と聞くといかにも「天然」っぽいのですが、実は竹の繊維そのままの「天然竹繊維」と、化学処理を施した「化学竹繊維」とがあります。
あるいは食品やシャンプーなどの日用品にも「天然由来」という言葉があったり…。「天然」と「天然由来」って違うのかな、とか、だんだん混乱してくるんですよね。単純に分けられことは重々わかっていて、それでもやっぱり、難しいと多くの人を遠ざけてしまうなぁ、と。

谷口:それは本当にそうですね。例えば食材の成分表示に「保存料(ビタミンC)」というのがありますよね。「ビタミンCって私たちの身体に必要な栄養素じゃん!だから、大丈夫だ」と感じる方も多いと思うのですが、ビタミンCにも「天然」のものと「化学」のものがあって、実は化学物質からできていたりします。
逆に「ステビア」という聞き慣れないカタカナのものはなんとなく「化学」=「避けるべき成分」に感じるけど、実際は糖度が非常に高く甘味料となる植物だったり(本当にあるんですよ!正真正銘の「天然」です)。「大丈夫そうなのに実は悪い」「悪そうだけど実は大丈夫」という罠がたくさんあるんですよね。



鎌田:確かに「ステビア」、響きだけでなんだか悪そうです……(ハーブみたいな見た目の植物なのですね)

谷口:初心者の人が、いきなり細かいことまで気にしていたら、難しく思えて、何も行動を起こせなくなるというのが私の考えで。はじめのうちは「パッと見て、何かよくわからないものとかカタカナは、まず避ける」とか、それくらいシンプルに捉えて始めてみたらいいと思っています。はじめのうちは「ステビア」などもカタカナなので避けていいです(笑)。
私自身、毎日バリバリ働いているので実感していますが、とにかく現代人は忙しい!仕事も、美容も、遊びも、家事も、子どもがいるなら子育ても…。そんな忙しい毎日を送っていても、少しでも健康でいるためには、オーガニックサプリなど、便利で頼れるものにはどんどん頼るべきというのが持論です。ただ、特にサプリなどは毎日継続的に身体の中に取り入れるものだからこそ、正しい知識と選択が必要ですね。

鎌田:確かにそうですね。頭でっかちに考えてばかりで行動に起こせなかったら意味が無いし、かといって知識も何も無しにサプリなどを取り入れ始めたら取り返しがつかないことになりかねない…。

谷口:サプリに関して言えば、まずラベルの成分表記を見てみてください。「Other」とか「その他」と表記されているところが重要です!それ以降の部分に「添加物」についての成分が書かれているのですが、サプリの内容自体が素晴らしくても、保存料だったり、飲み込みやすくする潤滑剤などカプセル化する際に安価にできるものだったり…。必要な物と合わせて不要なものがたくさん含まれています。いろいろな落とし穴があるからよく読んで判断してほしいですね。


鎌田:なかなか難しそうですね不安が拭えない……だからこそ、こういうお店(アダプテーション)が必要ですね。信頼できる人がセレクトしている商品を選ぶというところから始められる

谷口:そうですね。比較的簡単な判断基準としては、米国のUSDAマークやEUの有機認証マークなどがあればまず安心、と考えていいと思いますよ

鎌田:日本で言う有機JASのようなことでしょうか?

谷口:はい。でも、日本の有機JASに比べて、米国やEUの認証取得難易度は遥かに高いと言われています。特に、USDAマークがついているサプリメントや食品は、より厳しい審査を通過しているので、安心安全と考えてOKです。どんなマークかは、調べるとすぐにわかりますよ。

鎌田:その基準はとても心強いです!最初の入門編として、認証マークを手がかりにする。そこから一歩進んで「天然」か「化学」かで考える。といった感じですね。これなら無理なくできそうです。



谷口:そうですよね。忙しい現代人には、高品質で便利なものはぜひ取り入れていただいて、無理なく健康的な生活を手に入れてほしいです。

鎌田:便利なものを利用していい、というのはすごく励まされますね。天然や自然であることを大切にするということと、便利なものに頼るということは、イメージ的に真逆に感じている人も多そうです。「食にこだわる」というと、ストイックでスローな印象もあるので

谷口:もちろん、自分が手をかけて育てた安心安全なお野菜を、朝昼晩と摂れるならそれが一番いいと思います。でも、そんな理想的な生活は、多くの現代人にとっては非現実的。安心安全の基準があれば、便利なものはどんどん取り入れていっていいんです。毎日、いつまでも健康でいられることが、一番大切ですよね

鎌田:かおりさんは、どれくらいの頻度でサプリを摂っているんですか?

谷口:毎日、スキあらば摂っていますよ!移動中とか、時間ができればバンバン飲んでます。

鎌田:ええっ!そんなに…!でも、1日何個とか、さすがに決まっているんじゃないですか…?



谷口:決まってないですよ!「きゅうり1日何本まで」って決まっていないでしょ?それと一緒。原材料は「天然」だから、むしろ現代人はどんどん摂った方がいいくらいですよ。分量が決められるのは「化学」的なものだけ。

鎌田:なるほど…。きゅうりの例えがわかりやすいです。


■ 身体の声を聞く

鎌田:以前かおりさんに教えてもらって以来、衝撃的すぎて、少しずつ実践していることがありまして。ずばり「水以外は水分ではない」!



谷口:そうなんです。ここ、勘違いしている人がかなり多いのでわかってもらいたいポイントですね。水は水!水分は水を分けると書くように、身体が水とその他で分けるもの。別物です。喉が乾いたからってアイスコーヒーを飲んでも、潤った気がしているだけで、身体は潤いません。植物や、愛するペットにコーヒーやオレンジジュースをあげてみてください。考えただけでこわいですよね。人間も実は同じなのです。人間は、植物やペットに比べて身体が頑張ってくれて、なんとか受け入れ処理ができちゃうから、自分がいま本当に求めているものに気がつけないんですよね。もっと自分の身体の声に耳を傾けるべきなんです。その声を無視しすぎたら、身体は怒って、ついには大きな病気として知らせるしかないんですね。

鎌田:お茶やコーヒーは「飲みたいもの」で、水は「飲むべきもの」と考える、と以前おしゃっていましたよね。すごく分かりやすいな、と。

谷口:食べ物に関しても同じです。「食べるべきもの」として7大栄養素があって、それを毎日満たした上で、はじめて「食べたいもの」を食べていいんですよ。小学生が宿題してから遊びに行くのと同じ。「働かざる者食うべからず」とも本質は一緒です。



鎌田:どんどんシンプルになってきましたね。

谷口:私のまわりの人たちを見ていても思うのですが、みんな毎日、「飲むべきもの」「食べるべきもの」を満たさないまま、わかりやすく車に例えると、要はハイオク満タンじゃないまま、もしくはガソリンですらないものを給油して、忙しさに流されて頑張って、いろんなところに走りに行って…。ということを日々してしまっている。そんなの、あっという間に速度は遅くなって、それでも走り続けたら故障して、廃車になることは目に見えている。それでもまだ部品を変えて走ろうとする。それが身体でいうと「風邪引いた」「頭痛い」などの不調になっていく。そりゃそうなるよね、って私は思っちゃいます。

鎌田:まずは何よりも「飲むべきもの」「食べるべきもの」。

谷口:その上で、「飲みたいもの」「食べたいもの」を取り入れる。私、人とお酒を飲むのは大好きなので、そのために「飲むべきもの」である水をきちんと摂っている、という感覚です。水は1日に1.5~2リットルが必要とも言われていて、きちんと飲んでいます。身体の60%は水です。私は、その水を毎日きれいな水に入れ替えてる感覚です。だから、乾燥や冷えとも無縁ですよ。更に、運動していることも相まってか、私、代謝もどんどん上がっていて体温が高く、発汗量が本当にすごいんです。(笑)

鎌田:難しく考えずに、とにかく基本的なことを徹底的にやることが大事なんですね。


谷口:それに尽きますね。「飲みたいもの」「食べたいもの」があるからこそ人生は楽しい奪ってしまってはつまらない。しかし、やることはやってから!宿題やったら遊んでいいんです。小学生の時から本質は変わらないということですね。



終始一貫した考え方で、ご自身の「食」への向き合い方について語ってくださった谷口さん。日々の積み重ねが未来の自分をつくることを、誰よりも理解し、実践している谷口さんからは、確かな強い信念がうかがえました。小さなことでもひとつひとつ、誠実に考えて答えを出していくことが、「自分」をつくっていくことなのかもしれません。


Cosme Kitchen Adaptation

http://ck-adaptation.com



Text/Photo kaoaoaori